【どのように脳血流を回復させるかがカギ】
うめはら鍼灸院では、
A 自律神経調整の鍼灸治療
に加えて、
B 起立性調節障害の④パターンの鍼灸治療
を使用します。
A 自律神経調整の鍼灸治療
自律神経が不調の方の基本的な体質は、考え過ぎで、胸から上(特に頭)にエネルギーが集まりすぎ、おへそから下(特に膝から下)がスカスカになっています。これを中国医学では上実下虚(じょうじつかかきょ)と言います。この上実下虚を改善するために、当院で考案した足、腰、肩のマッサージを行います。さらに自律神経の切り替えポイントである、頭の付け根(後ろ髪の生え際)、下頭斜筋(かとうしゃきん)のコリ・緊張をゆるめることが効果的です。
B 起立性調節障害の④パターンの鍼灸治療
パターン① 常にふわふわタイプ
■座っているだけでもふわ~っとしている
■誰かに引っ張られるような感覚
→効果的なツボ : 腎兪(じんゆ)、太渓(たいけい)
全体的な元気の貯金が極端に減ってしまったタイプの患者さんです。中国伝統医学では、腎臓が元気の貯金箱であると考えており、腎臓のツボを使い、腎機能を高めると、全体の気力体力が持ち上がり、脳に必要なエネルギー、血流が届くことにより、改善していきます。セルフケアで、睡眠の大切さやお家でできるお灸の場所もお伝えします。
パターン② 立ちくらみタイプ
■足にたまった血液を上に戻せないタイプ
→効果的なツボ : 承山(しょうざん)、築賓(ちくひん)
重力により、下に下がってたまった血液を下半身、特にふくらはぎの筋肉で心臓や脳に押し上げていく力が足りない場合、このツボを使います。ふくらはぎの筋肉がしなやかになると、脳に血流が届きやすくなり改善していきます。椅子から立った時(立ちくらみ)のタイプに効果的です。セルフケアで当院独自のふくらはぎのマッサージもお伝えします。
パターン③ 首のコリが脳血流を低下させているタイプ
■スマホによる首肩コリ
→効果的なツボ : 天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)、扶突(ふとつ)
首の筋肉がこっていることにより、脳に血流が届きにくくなっているパターンに使います。スマートフォンなどの使用などにより、首のコリが強い方は本当に多くいます。起立性調節障害では、外出が少なくなり、おうち時間が増えることで、さらにスマホの使用量が増え、首のコリが悪化していく場合があります。このツボで下頭斜筋(かとうしゃきん)、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)のコリを緩めます。どちらもマッサージでは緩みにくい筋肉です。指が入らない細かい部分に届くことができるハリ治療が適していると言えます。これらの筋肉をやわらげることで、脳血流が改善し、起立性調節障害の症状が改善することが多くあります。セルフケアで当院独自の安全で効果的な首のストレッチをお伝えします。
パターン④ 貧血タイプ
■貧血の数値が低い
→効果的なツボ : 血海(けっかい)、太衝(たいしょう)
酸素は血液中の鉄分とくっついて運ばれますが、貧血により、鉄分が少なく、脳に酸素が十分に送れない場合に立ちくらみやふわふわ感が現れます。ほかにも、メンタル不調や生理周期の不調、不眠など、自律神経全体に悪影響を及ぼします。鍼灸治療により、鉄分を吸収しやすい身体をつくることができます。もちろん食事やサプリメントなども重要ですので、アドバイスさせていただきます。
この4タイプ別に、鍼灸治療のツボを用意しています。4タイプは1つだけの場合もあれば、複数が混在している場合もあります。
起立性調節障害
実際の症例 16歳 女性
イスから立ち上がると、毎回、気を失いそうになる。
■状態
何度も気を失い、バタンと倒れたこともある。朝の寝起きもかなりつらく、登校もままならない。胃腸症状や頭痛もある。午後3時ごろからは元気になってくる。日が暮れると絶好調タイム。夜更かししてしまうことも多い。そして朝が起きれない悪いルーティーン。欠席が多くなり、留年の可能性もでてきている。個人クリニック、総合病院など、何件も病院を代わっている。
■病院での投薬状況
ミドドリン(血圧をあげる)
エビリファイ(朝起きやすくする)
■鍼灸治療
自律神経調整、パターン② ふくらはぎのコリ ③首のコリ
を中心に行った
■経過
4回目までは、あまり変化なく、5回目から頭がはっきりしてくる感じがあり、徐々に立ちくらみの回数が減ってきた。失神はなくなった。10回目から、朝の目覚めが良くなり始め、登校しやすくなる。その後、月に1回の鍼灸治療を行い、職員会議にて、体調不良を考慮してもらい、留年を免れた。
■特に効果のあったツボ・筋肉
→築賓(ちくひん)、天柱(てんちゅう)
起立性調節障害
実際の症例 20歳 女性
朝起きられないことが続き、大学を休学中。
■状態
吐き気など胃腸症状も出始め、複数の病院に行ったが、特に効果がある薬はなかった。首のコリも強く、頭痛の日も多い。休学も2年目に入り、なんとか復学できるよう鍼灸治療を試そうと思った。
■病院での投薬状況
アメジニウムメチル硫酸塩(血圧をあげる)
フェロミア(鉄剤)
■鍼灸治療
自律神経調整、パターン③首のコリタイプ ④貧血タイプ
を中心に行った
■経過
首のコリがかなり強かったので、重点的に鍼灸治療をしたかったが、ハリの怖さがあり、強すぎないように注意深く、刺激量を決めていった。3回目の来院時、よく眠れる日がでてきたとのこと。しかし、寝ても寝ても眠りたらず、まだ朝は起きられない。6回目でスッキリ感がでてきたようで、眠り足りる日が出てきた。7回目、眠いながらも朝のウォーキングをすることができた。その後、3週間に1回の鍼灸治療を行い、3か月後に貧血の数値が基準値に入った。通学の練習を開始した。秋のタイミングから授業数は少ないながらも復学することができた。その後2年間、4週間に1回の鍼灸治療を行い、良い状態を継続した。
■特に効果のあったツボ・筋肉
→風池(ふうち)、血海(けっかい)